◇REITの仕組み
REIT(Real Estate Investment Trust)は、一定の投資法人が上場できる不動産投資信託です。
【REITの仕組み】
REITは、複数の投資家から比較的少額な資金を集め、その資金をプールして様々な不動産に投資し、それらの不動産から得られる賃料収入や売却収入を投資家に分配する仕組みです。
【REITの商品特性】
1.少額での投資
数万円程度から投資できる。
2.複数の不動産への分散投資
複数の不動産に分散して投資できるため、一つの不動産に投資する場合に比べてリスクが軽減される。
3.専門家による運用・管理
経験豊かなプロ?(信用するしかない)が運用し、物件の管理やメンテナンスなどを行う業者の選択や管理を行ってくれる。
4.売買の容易さ
金融商品取引所(証券取引所)に上場されているので、いつでも売ったり買ったりできる。
5.収益のほとんどを分配
REITは年2回または1回決算を行い、その際に投資家に分配を行う。通常の株式会社であれば所得に対して法人税等がかかるが、REITは利益の90%超を分配するなど一定の条件を満たせば法人税がかからない。このため、投資家は実物不動産に直接投資するのと同様に、不動産からの収益のほとんどを決算期ごとに分配金として受け取ることができる。
6.インフレ対策として
インフレになると現金や預貯金の価値は目減りするが、不動産の価格や賃貸料は上がることが多く、それに伴ってREITの価格や分配金も上昇すると考えられるため、また、不動産の価格は株価などに比べると変動が小さいため、REITは「ミドルリスク・ミドルリターン」の金融商品といわれている。
7.REITのリスク
もちろん、一般の投資信託と同様のリスクがある。
a)価格変動リスク
不動産価格、需給関係、分配金等の影響を受け変動しているので、買った時よりも価格が下がれば損失が発生する。
b)金利リスク
投資家から集めた資金のほかに、金融機関などからの借入金も使って運用するので、金利が上がった時に利子の負担が重くなり分配金は減ることがある。また、市中金利が上がって他の金融商品の利回りが上がれば、相対的にREITの分配金の利回りの魅力が薄れ、REITの価格が下落する可能性がある。
c)流動性リスク
REITも株式と同じように売り手と買い手の両方がいることによって売買が成立する。売り手・買い手のいずれかが少ないまたはいない場合や、双方が提示する価格の折り合いがつかない場合は売買が成立せず、買いたい銘柄が買えない、売りたい銘柄が売れないといったことが起こる可能性がある。
d)信用リスク
投資法人は、資産運用会社に出資をしているスポンサーから不動産物件を購入したり、情報やノウハウを提供してもらうなど様々なバックアップを受けており、スポンサーの経営状態が悪化したり信用力が下がったりすると、REIT自体の信用力が低下し、価格が下がる可能性がある。
e)不動産特有のリスク
REITが保有する不動産物件が災害や事故の被害によって損害を受けると、賃貸料が予定通り入ってこなくなる可能性がある。また、テナントが退去して空室が続いたり、景気の状況によては賃貸料が下がることもある。その他、不動産に関する法律や規制、税制の変更などで不動産の価格が下がると、REIRの価格が下落したり分配金が減ったりるることが考えられる。
8.投資証券(投資口)の税務
所得税法上の配当所得として、原則、所得税15.315%、住民税5%が源泉徴収される。また、申告分離課税を選択した配当については、上場株式の譲渡損失との損益通算ができる。